竹田のアートシーン開拓者。
美術ユニット〈オレクトロニカ〉 | Page 3
丁寧なつくり手のプロダクトを届ける〈猿竹工芸商會〉
傾く家と工房のすぐ近くあるのが〈傾く家分棟 ashu〉です。
足を踏み入れると、繊細な形のグラスやお皿、カトラリーなど、作家の手仕事でつくり上げられた日用品の数々が並び、それらはどれも使いやすさと美しさを備えた逸品といってもいいものばかり。
ここに並んでいるのは〈猿竹工芸商會〉を中心とするプロダクト。以前から竹田で暮らす作家さんのなかにはブランディングや流通販売についてのノウハウを持っていない人が多いということが気になっていたふたり。みんなで一緒に学びながら、今後の作品販売に役立てることができたらと、アートカルチャーで企画したのが、猿竹工芸商會協働プロジェクトでした。
プロジェクトではデザイナーの猿山修さんとアドバイザーの山本千夏さんを竹田へ招き、「モノを売ること」をテーマにしたイベントを開催。契約書のつくり方から在庫管理、ラッピング、ディスプレイまで細かなレクチャーが行われました。
アートカルチャー自体が終わってしまったあとも、この猿竹工芸商會はオレクトロニカの一部門として継続され、プロダクトの販売などを担っているそうです。彼らなしには、竹田のアートシーンやクラフトもここまで発展することはなかったはず……!
最後に「竹田でのアート活動で大変なことってなんですか?」と少し意地悪な質問をぶつけてみました。
「竹田は失敗しても大丈夫っていう気持ちでチャレンジできる場所。練習がいっぱいできてよかったと。大変だったことを思い出そうとしても思い浮かばないくらい、ここはいいところですね」(児玉さん)
「そもそも都会でアート活動をやったことがないので、都会の良さを体験してないんです(笑)。僕も竹田がいいと思ってますね。場所も気軽に借りられて家賃も安いし。過ごしやすい場所ですね」(加藤さん)
竹田を愛してやまないオレクトロニカ。おふたりにお会いすることができたおかげで竹田のいいところをまたひとつ知ることができました。
1984年大分市生まれの加藤亮と、1984年熊本県生まれの児玉順平による美術ユニット。2011年から竹田市を拠点に活動を開始し、彫刻作品の制作や空間デザインなどを手がける。アートイベント「TAKETA ART CULTURE」を2011~2018年に企画・運営。現在は各地の展覧会やアートイベントに出展するほか、〈猿竹工芸商會〉のプロダクトや骨董販売なども手がける。
*価格はすべて税込です。
credit text:川上靖代 photo:木寺紀雄