東京でのキャリアを生かして
佐伯に〈cafe KOYOMI〉をオープン。
増村夢香さん | Page 2
東京で叶えた夢、その一歩先へ
それまで九州に来たこともなかったという夢香さんでしたが、夫婦で佐伯市に移住。また飲食店で働こうかなと漠然と考えていたそうですが、なかなか自分の経験を生かせるお店が見つかりませんでした。
「佐伯には大学がないので若者はあまりいないのですが、うちの旦那さんのように30代でUターンする人や、子育て世代はけっこういるので、カフェの需要はあるなと思いました。小さいお店ならひとりでも回せる自信はあったので、やってみようかなと」
佐伯に来る直前の半年間ほど、東京の小さなカフェで働いた経験が自信になり、自分のお店を思い描くように。さらに物件を探しながら散歩していたときにたまたまこの物件に出合い、中を覗いて、このカウンターとこの広さならと、ひとりでお店に立つ風景が想像できたといいます。
そこからはすべてがトントン拍子。実はこの物件、買い手もいたようなのですが、大家さんは、若い人が商売をするならと貸してくれることに。佐伯市の創業等支援事業で経費の3分の2の補助(当時)を受けて、店舗を改修。水回りなどは既存のまま使えたのと、キッチンの設備などはリースすることにし、それほどお金をかけることなく開店にこぎつけました。
現在は週3日営業のKOYOMIですが、オープン当初は週5日営業していました。
「メニューもいまより種類があったのですが、やはり最初はお客さんも少ないですし、東京より圧倒的に人口が少ないので、無駄も出てしまって。そうこうしているうちに子どもができ、つわりもあって必然的にメニューを減らすことになりました」
あれもこれもはできないけれど、できることをシンプルに続けよう。そうやって思い切ってメニューを減らしましたが、これはきっといけると思って続けているグリーンカレーは、現在も人気。いまでは子どもが3歳になり、逆にできることを少しずつ増やしているそう。
「月に1度、スリランカカレーを出したり、今年からチーズトーストをメニューに追加したり。子どもの成長とともに、自分に余裕ができたら増やしていくというように、そのときできることをやればいいかなって。みんな応援してくれますし、それは佐伯に来て本当によかったなと思うところです」
営業は週3日でも、2日は仕込みをしているので、週5日働いていることになります。いまはこのスタイルで続け、もうひとり子どもができたらまた減らすかもしれないし、子どもが大きくなって自分が40代、50代になったらもっと増やすかもしれない。そのときのライフスタイルに合わせて無理なく続けていきたいと夢香さんは話します。それができるのも、この土地だからかもしれません。