アトリエに設置されたキッチンで料理をする財前直見さん
連載|MY FAVE オオイタ

何もない、でも何でもある。
それが大分らしさ。
俳優・財前直見 | Page 3

Posted 2023.04.28
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大分で取り戻した“人間らしさ”とこれからのこと

里山の中を散歩する財前さん

農のある暮らしを家族で満喫するなかで、「未来のことを考えたときに、誰もが楽しめる場所をつくりたい」と考えた財前さん。築130年を超えた杵築市の生家を取り壊し、新たな農業体験の場として蘇らせる構想があるそうです。

「今回のように野山を散策して採れたものや、自分たちで収穫した作物をみんなで調理して、一緒に食べる。昔ながらの農業体験ができる拠点がつくれたらいいな、と考えています」

杵築市にある「財前家宝塔」
財前さんが訪れたのは、杵築市にある「財前家宝塔」。財前家の墓地には国東塔(くにさきとう)や石でできた板碑(いたび)、五輪塔(ごりんとう)が約100基群在しており、最大のものは国の指定重要文化財に指定されています。
「財前家宝塔」を見つめる

そんな一大プロジェクトが着々と進行中で、母家を解体する様子はテレビ番組でも放送されました。解体を始めると、天井裏から立派な梁が現れたり、囲炉裏の煙で味わい深い色に燻された煤竹(すすだけ)が取り出されたり。4代に渡る長い時間、財前家を守り続けた建材や建具は貴重な宝物です。

「それらの廃材を、今度建てる新しい家の装飾に生かそうと思っています。木の温もりとレンガを用いた洋風建築のセカンドハウスをつくる予定なんです。解体した囲炉裏から出てきた100年分の灰も、もちろん捨てずに再利用しますよ!」

アトリエのような倉庫に設置されたキッチンで料理中
財前さんが腕を振るうのは、アトリエのような倉庫。母家の解体に先駆けて、キッチンのある空間をつくりました。

「手伝っちゃんで〜!!」と、生家の再生プロジェクトには地域の人たちも積極的に協力してくれ、地元の作家さんやものづくりをしている人たちとの交流も生まれているそう。そうした大分県の人たちの奉仕の気持ちに触れられることも、喜びのひとつだと言います。

七島藺(しちとうい)の鍋敷き
飾られているのは、息子の凛太郎さんと一緒につくった七島藺(しちとうい)の鍋敷き。七島藺とは国東の特産品で、畳の材料になるカヤツリグサ科の植物のこと。ふたりは七島藺工芸作家の岩切千佳さんに習いにいったそう。
手書きの絵が描かれたタイル
凛太郎さんが6歳の頃に描いた絵をタイルにして保存していた財前さん。アトリエの壁を生き生きと彩ります。

「ゆくゆくは農業体験だけでなく、ものづくりのワークショップなどもできたらいいなと考えています。今はやりたい構想がてんこ盛りで、毎日ワクワクすることばかり」と財前さん。

「心を豊かにして、体が喜ぶ体験をたくさん重ねていけば、人間本来のあるべき姿が自然と見えてくるのかもしれませんね。そういう暮らしや故郷大分の魅力を、自分たちの世代だけでなく、未来の子どもたちのためにもつないでいけたらと思っています」

散歩中の財前直見さん

財前さんのお気に入りをご紹介!

つるさき食品の〈三角チーズパン〉

大分の人々から長年愛される〈三角チーズパン(通称:サンチー)〉は、財前さんも大のお気に入り。大分県学校給食指定工場でもある〈つるさき食品〉が1975年から高校の購買部で販売を始めたご当地パンで、今では「学校の外で買える購買パン」として、つるさき食品本社工場の直売所を含む大分市内の12か所で販売されています(現在、高校購買部での販売はなし)。

三角チーズパン
表面はメロンパンのような甘いクッキー生地でコーティングされたサンチー。(photo:坂口ナオ)

「三角形にカットされた食パンの間にチーズクリームがぎっしり挟んであって、ボリューム満点、食べ応えも十分です。チーズの塩気と生地の甘みが絶妙にマッチして、クセになるおいしさ。あんことチーズをはさんだ〈あんことチーズの三角パン(通称「あんチー)〉、もおすすめです!」

あんことチーズの三角パン
数量限定のあんチー。サンチーともども売り切れ必至なので、見つけたら買うのがオススメです。(photo:坂口ナオ)
Information
つるさき食品
web:つるさき食品広報 Instagram|@tsurusaki_foods
※〈三角チーズパン〉は、つるさき食品本社工場の直売所、トキハ本店B1〈BAKERY MAR〉、産直さんさん、川の駅松岡店、コープおおいたコープ大分駅店、同co・opふらいるなどで販売。お店によって販売している曜日が違うので、買いに行く場合は事前に確認してください。

うみたま体験パーク「つくみイルカ島」

イルカと人間の「ふれあい・癒し」をテーマにした体験型施設。自然の海を使ったダイナミックなパフォーマンスを見られるほか、イルカと一緒に記念撮影したり、泳いだりできるプログラムなどを体験できます(イルカパフォーマンス以外は有料)。隣接する〈里の駅 つくみマルシェ〉はお土産も充実。

上空から見た、うみたま体験パーク「つくみイルカ島」
津久見市の豊かな自然のなかに位置。(写真提供:うみたま体験パーク「つくみイルカ島」)

「いわゆるプールではなく、海の中でパフォーマンスするイルカを見るのは本当に気持ちがいいですよ。イルカと触れ合ったり、ペンギンを見たり、キャッチ&リリースの魚釣りをしたり。凛太郎が大きくなった最近は、イルカ島を飛び出して、本格的な釣りも楽しんでいます。狙いは、もちろん津久見名物のモイカ(アオリイカ)です!」

イルカショーの様子
イルカの豪快なパフォーマンスが見どころ。(写真提供:うみたま体験パーク「つくみイルカ島」)
Information
うみたま体験パーク「つくみイルカ島」
address:大分県津久見市大字四浦2218-10
tel:0972-85-3020
access:JR津久見駅から車で約15分、津久見ICから車で約20分。
営業時間:10:00~16:00(季節により延長あり)
休園日:1月中旬から2月中旬までの約1か月はメンテナンスのため休園
入園料:大人(高校生以上)1300円、小人(小・中学生)800円、幼児(4歳以上)650円
web:うみたま体験パーク「つくみイルカ島」
財前直見さん
Profile 財前直見

1966年大分県杵築市生まれ。18歳で上京し、85年に俳優デビュー。数々のテレビドラマや映画、バラエティ番組に出演し、長年第一線で活躍し続ける。『財前直見の暮らし彩彩』(NHK Eテレ)など、移住後はテレビやInstagram、書籍で大分での暮らしを発信する機会も多く、APU名誉客員教授にも就任。畑で採れる旬の食材を使った常備菜や自然由来の自家製スキンケアアイテムなど、飾らない暮らしのレシピをまとめた“田舎暮らし”を綴るライフスタイルブック『直見工房 財前さんちの春夏秋冬のごはんと暮らし』(宝島社)が好評発売中。財前直見オフィシャルサイトInstagram|@ naomi_zaizen_official

※価格はすべて税込みです

credit text:西野入智紗 photo:網中健太 hair & make:竹下フミ styling:𠮷田由紀(crêpe)

衣装クレジット ブラウス37400円、デニムワンピース52800円、パンツ47300円(すべてTELA)、イヤリング(スタイリスト私物)以上、価格はすべて税込み。

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